日本は、戦後の高度経済成長期を経て、経済大国への道を歩んできたが、近年、経済の国際化が急速に進展していく中、「真の豊かさ」とは何かという根本的疑問が生じてきていた。そのような社会状況の中、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、東北地方や関東地方に甚大な被害を受け、沿岸部を中心に多くの貴重な命が失われることとなった。また、大震災によって生じた原発事故によって、東北地方のみならず、日本の社会経済的な基盤を根底から揺るがす重大な危機に直面することになったのである。
日本は、こうした甚大な被害をもたらした大震災と原発事故を乗り越えていくために、どのような道を進むべきなのか、被災地に真の再生をもたらすために、いかなる社会経済システムの再構築が必要となるのか、その具体的な解決策を模索していかねばならない。
私は、建築、都市計画を専門として、政府機関や民間企業、シンクタンクや大学機関における都市開発やまちづくり、企業戦略コンサルティングや政策提言の30年を経て、これらの成果を次世代の持続可能なまちづくりや企業経営に活かすべく、「ガイア都市創造塾」を開校することとした。
「GAIA : ガイア」とは多様な生命を宿す地球を意味する21世紀のコンセプトであり、宮城大学教授に就任した後、3.11の大震災を超えて、生かされた命を使う道を、この「ガイア的な都市と企業の実現」に定め、震災の教訓を踏まえながら、東北や日本を再生していく人財(ガイア人)を育成すべく、本塾を開校することに至った。
「ガイア都市創造塾」は、今年の秋から、東京と仙台をキャンパスとしてスタートする。その魂の行く先は、すべての命が、潔く健やかに生きられる「ひとつの地球(Oneness)」を実現していくことであり、ガイアの思想に基づく「社会分析」「自己覚醒」「事業構想」「共創システム」を実現し、それらのビジョンを共有する同志(ガイアコミュニティ)を組織化していくことが求められている。
ガイアコミュニティは、震災を風化させない、東北と東京をつなぐ、東北から世界につながる、をテーマに様々なガイアプロジェクトをつくっていく。
そして、その先端的なチャレンジは既に始まっている。
2016年の12月に完成する東松島の森の学校プロジェクトは、C.W.ニコル氏の協力を得ながら、津波で流された学校を高台移転に伴い「森の学校」として再建する事業であり、宮城大学風見正三研究室は、その基本構想、基本計画を策定し、「森の学校」の基本コンセプトやグランドデザインを具現化させてきた。
「ガイア都市創造塾」は、こうした「森の生命力」や「自然の神秘」、「地域文化」や「地域循環産業」の息吹を日本や世界に広げるための「ガイア政策モデル」「ガイアビジネスモデル」を構想する理論や実践手法を学び、これまで培ってきたガイアネットワークを十分に活用し、日本や世界を変革していく。
Gaia = Oneness = Love&Peace= Whole Earth = Gaia Project
地球は愛を求めている。
「ガイア都市創造塾」はその声を聴き、地球を愛する経営者や様々な分野の専門家が集まり、ガイアプロジェクトを起こしていく。
すべての生命が幸せに生きる地球を現実化するために…
2016年7月1日
風見正三